スロットコーナーでは杉のインテリア
1995年から
ホール内を分煙
多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされること)を防止する措置をとるよう定めた健康増進法が施行されて3年が経過した。パチンコホールにもわずかずつではあるが、分煙、禁煙を取り入れる動きが広がり始めている。
そうした中、いち早く店内の分煙に取り組んできたZENT小坂店(本社・愛知県豊田市、都筑順雄社長)がこのほど、店内全面禁煙に踏み切り、パチンコホールとして初めて豊田市の禁煙施設認定を受けた。同様の認定制度は多くの自治体にあるが、パチンコホールが禁煙施設認定を受けたケースは全国的にも珍しい。
同市の認定制度は昨年春にスタート。建物全体が禁煙であって、そのことを標示し、屋内に灰皿を置いていない施設を禁煙施設として認定する。また、非喫煙場所へ煙やにおいが漏れださないよう、十分な能力の排気装置を備えた喫煙場所を設置しているなどの条件を満たす施設を分煙施設として認定している。
同店のたばこへの取り組みは古い。同店がグランドオープンしたのは1986年だが、1995年にリニューアルした際にホール内を禁煙にした。その際はホール内に喫煙ルームを設ける形での分煙だったが、当時は禁煙ホール自体が非常に珍しく全国のホール関係者が視察に訪れたという。
「全館禁煙」をアピールする看板
店の入り口に張られた禁煙施設認定のステッカーを示す西田副店長
たばこ嫌いの客層を
うまくすくいあげる
同店に一歩足を踏み入れると、たばこの煙などが入り混じったパチンコホール特有のにおいがしないことに気付く。店内のいたるところに杉やひのきを使ったインテリアが置かれ、ほのかに木の香りさえ感じられるほど空気はきれいだ。
また、禁煙は店内の美化にもつながった。灰がこぼれたりしないので清掃も簡単。灰皿交換の必要もなく、スタッフの作業も省力化できた。また、空調設備のエアフィルター掃除も喫煙ホールであれば、1カ月に1回程度必要となるが、同店では2カ月に1度程度でいいという。
その一方で、店内で喫煙できないとなると、たばこを吸う客が来店しなくなり、集客に悪影響を与えるのではという懸念を持つ人も多いだろう。同店の場合、総台数がさほど多くないということもあるが、全面禁煙に踏み切ったことで客足への影響はほとんどないという。
西田恵子副店長は「お客ざまへのアンケートでも常にたばこの煙がホールに対する不満の上位に来ます。パチンコを打ちたいけど、たばこの煙が嫌だからプレーしないという層は確実に存在しており、そうした層をうまく取り込めたのでは」と話す。
事実、屋外に設置している「全館禁煙」という看板を見て入ってきた20歳代のOLは「店もきれいだし、玉もよく出る。服にたばこのにおいがつかないのもいい」と、以後常連となった。
同社は来年末までには、県内に1000台規模の全館禁煙ホールの出店も計画中だ。同社営業部の武石政幸課長は「禁煙にして大丈夫かという声も聞こえてきますが、ここを禁煙にした時にも同じような声がありました。しかし、禁煙にして以来、10年以上もちゃんと営業し続けているわけですから、1000台だってできないことはないはずです」と自信をみせている。
休憩コーナーもふんだんに木が使われている
ひのきをぜいたくに使った店内の壁
● 所在地/愛知県豊田市小坂本町
4-7-12
● 開店日/2006年3月9日
● 経 営/㈱善都
● 代表者/都筑順雄氏
● 店舗数/22店舗
● 総台数/212台
(うちパチスロ42台)